ブランド・サーモン

〜ノルウェー産,天然タイセイヨウサケ(知り合いの釣果)〜
先日,ノルウェー産のサーモンの品質が下がっているというニュースを見ました.急速に成長させるせいで味が悪くなるらしい(肉質のキメって何だろう?その1,その2,参照).
ノルウェーの水産会社が中国の水産会社と提携するとか,そんな感じのニュースもやっていました.水産国家ノルウェーからすれば,世界一の魚消費国である中国はお得意様です(日本の淡水魚介類の消費が低いのはなぜか?その1,参照).きっと淡水魚から海水魚へ嗜好を変化させようと企んでいるに違いありません.
サケ・マス類はずいぶん前に完全養殖が確立されて,世界各地で養殖されています.天然サケに負けない養殖サケも次々と生まれています.各地域,各会社で激しい競争が行われていると思います.
そこで,どんなブランドがあるのか調べてみました.ネット上でさらっと目に付いたものを挙げてみます.偏っているとは思いますが….
オーロラ・サーモン(*1)
ノルウェー・サーモン(タイセイヨウサケ)は一般に脂質が多いのですが,北極圏の外洋で育つオーロラ・サーモンは成長が遅い分,さっぱりした脂身で味が良いようです.徹底した飼育環境で育てています.養殖場からは,飛行機でフィンランド経由の最短コースで日本に着きます.消費者に渡るまで確か70時間以内だったような….世界中に売るために国ぐるみで支援しているのでやはり強いです.
ユーコン・キング(*2)
アラスカのユーコン川に遡上する天然のキングサーモンで,このサイトの情報を信じるならば,脂質が35%にもなるそうです.天然魚で35%って…,幻のサケと言われる鮭児(けいじ)クラスです.”まるで鮭児のバーゲンセールだな” と,どっかの王子がぼやきそうです.ユーコン川は長いので成熟は川を上りながら進みます.日本のシロザケと異なり,川で捕獲しても成熟による身の劣化はないと思います.ちなみにユーコン産のシロザケは ”ユーコン・チャム” と呼ぶそうです(英語でシロザケはchum salmon).
信州サーモン(*3)
ニジマスとブラウントラウトを交配させた品種.成熟しないため,成熟による身の劣化がなく,いつでもおいしく食べられるのが特徴.長野県は海がないので,いかに淡水で美味い魚を作るか工夫したんだろうな.信州サーモンはネットでかなり引っかかります.相当アピールしていると思います.
伊達の銀(*4)
宮城県産のギンザケ.ギンザケは降海型なので,1年間淡水で飼育してから海に移して成長させます.抗生物質,合成抗菌剤,成長ホルモン剤,家畜由来の原料を一切使用せずに育てて,安全性をアピールしています.外国産の輸入サケよりも輸送時間で有利だと思います.
銀聖(*5)
北海道日高(札幌の下のほう)のシロザケで,日高定置漁業者組合が独自の基準で選別したシロザケを “銀聖” としているようです.基準は日高沖で漁獲され,大型(3.5kg)以上で,鮮やかな銀色で,鮮度保持が厳守された魚.最近は脂の多いサケを好む人も多いですが,純粋に身の味を楽しめるような気がします.
羅皇(ラオウ)(*6)
我が生涯に一片の悔いなし!の人と同じ名前です(笑).北海道羅臼(知床)のシロザケで,銀聖と同じく独自の基準で選別したもののようです.基準は,鮮やかな銀色,大型(4〜5.4 kg),漁師が美味いと思ったサケらしいです.美味いと思った,って….漁師さんの眼は確かだとは思いますが,基準が曖昧のような….
ギンヒカリ(*7)
一見,お米の名前のようですが,栃木県産で通常2年で成熟するニジマスの中から,3年で成熟する魚を選別して品種を固定したようです.成熟が遅いということは,エネルギーが成長のほうににまわされるため味が良いのだろうと思います.いかに淡水産で勝負するかという工夫が感じられます.
海峡サーモン(*8)
津軽海峡に面する青森県大畑町のブランド.ドナルドソン系(大型になるニジマスの品種)のニジマスを2年間飼育して大型のメスだけを海水飼育した魚.海峡で育てるなら,ドナルドソン系のニジマスではなくて,トラウトサーモン(降海型のニジマス)を使えば良いと思うのですが,淡水で育てるメリットがいまいち分かりません.2年+海水飼育だと,ギンザケ(1年淡水で1年海水)などよりも出荷が遅れるし….それほど味が良いのだろうか?
奥多摩やまめ(*9)
東京都奥多摩さかな養殖センターが作った全雌3倍体(染色体が3組あるメス,通常は2組の染色体).成熟せずに3年で2 kg以上に成長するようです.釣り魚としての利用も考えているようで,普通のヤマメよりも釣られやすいそうです(笑).
以上を眺めてみると,淡水養殖の場合は成熟しないなど新たな品種の開発に力を入れ,海水養殖の場合は飼育環境と安全性をアピール,天然魚の場合は産地のアピールと選別によって価値を高めている感じですね.
また,広告に力を入れているところとそうでないところも目に付きました.確か日本のネット普及率は70%くらいだったので,ネットで引っかかるかどうかはかなり重要です.
研究機関と販売団体の協力関係,マスコミ注目度,ネット販売の様子なども見えてきました.いくらネット販売のページで他とは違うと書いてあっても,何が違うかが曖昧だと信用できません.胡散臭いのが沢山あります.
ブランド名で検索しても,ネット販売のページだけで詳細な情報が出てこないブランドはあやしいと思ってしまいます.上に挙げたブランドの中でも,情報の得やすさはピンからキリです.
信州サーモンと銀聖は,欲しい情報量が手軽に手に入りました.ネット広告にかなり力を入れてるのだろうと思います.
ネット上で得られる情報と実際に流通しているブランドは,若干異なると思います.面白い情報をお持ちの方がいたら,教えて頂けると嬉しいです.
*1 オーシャン貿易株式会社(http://www.oceantrading.co.jp/seafood/link/aurora/aurora01.htm)
*2 YOUKON KING. jp(http://yukonking.jp/yukonking/)
*3 長野県水産試験場(http://www.pref.nagano.jp/xnousei/suishi/s_salmon/salmon.htm)
*4 吉川水産株式会社(http://www.sen-ysk.co.jp/kodawari/11/index.htm)
*5 日高支庁(http://www.hidaka.pref.hokkaido.lg.jp/ss/sis/ginseitop)
*6 羅臼漁業共同組合(http://www.jf-rausu.jp/raou/)
*7 群馬県(http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet;jsessionid=086FD6BDB4C7FCB2602C228626D18FE7?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=42651)
*8 日本水産学会誌(http://ci.nii.ac.jp/cinii/servlet/QuotDisp?LOCALID=ART0003554932&DB=NELS&USELANG=jp)
*9東京都奥多摩さかな養殖センター(http://www.tokyo-aff.or.jp/gaiyo/03/03/03_02.html)
<<魚ゼリー,ルーテフィスク | ホーム | ロブスターって右利き?>>
コメント
ブランドサーモン
確かに色々ありますねー。ギンセイ、ラオウは僕の会社でもプッシュしています。ノルウェーをはじめとする、養殖に負けてられません!!それにしてもサケって世界中から愛されてますね。
Re:ブランドサーモン
コメントありがとうございます.
サケは大きくなりますし,脂肪が多いですからね.煮付けには不向きだと思いますが,その他の料理法はほぼカバーしているような気がします.
マグロの漁獲枠も削減されましたし,サケの価値は今後も上がるのではないでしょうか?
サケは大きくなりますし,脂肪が多いですからね.煮付けには不向きだと思いますが,その他の料理法はほぼカバーしているような気がします.
マグロの漁獲枠も削減されましたし,サケの価値は今後も上がるのではないでしょうか?
コメントの投稿
| ホーム |

